水野先生が行く NO.2
~ 自宅訪問型診療 No.1 ~
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自宅訪問型診療、水野先生はこれを「往診家族療法」と呼ばれています。
この、往診家族療法について先生の書籍、「自立支援アパートと往診家族療法」よりご紹介します。
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往診家族療法とは、”家族の一人の精神症状を家族全体の問題として捉え、家族全体を治療の対象とする”治療方法であると考えていただいて良いでしょう。
様々な症状で言えることですが、登校拒否、非行、家庭内暴力、性格の偏奇など、思春期の子供たちのことを頭に置いてみてください。
子供の出している症状は「その子供だけ」の問題ではない。
その子供を抱えた家族全体(あるいは学校全体)に問題があり、その中から生まれているのです。
そこで、「家族全体(あるいは学校全体)」が必要となるのです。ところが多くの家族は「私たちに問題はない」と考えています。
一方、子供は・・・
多くの子供は「俺は悪くない、悪いのはお前だ」だから、(病院や相談所に)「俺は行く必要がないから、お前たちが行け」と言うことが多いのです。
これらの状況での家族の対応を、家族機能の良好なものから順番に挙げてみましょう。
対応1:話し合って説得する
→ 子供の信頼を得ることのできる身近な誰か(祖父母・叔父叔母、従兄弟など)を交えたりして
対応2:「騙したり」「脅したり」「力ずくで」、強引に治療場に連れて行く。
対応3:警察官や民間救急隊など「力ずくの専門家に同行してもらって」有無を言わず、強制的に治療場へ連れて行く。
・そこは単なる収容所である場合が多く、子供は更に傷つく。
対応4:感情的にぶん殴る、放置する。
・家族への傷害、刑事事件、自殺等の致命的な状況に至って初めて家族や国家機関が動き始める。
この中で、対応2までのやり方であれば「まだ治療可能性が高い」と言えます。
力ずくでの入院などさせられた子供たちは初めのうちは家族や治療者に激しい敵意を見せます。
しかし治療が進んだ段階で、大抵の子供が「あの時、ああしてもらっていなかったとしたら、今の自分はない」と言ってくれるものです。
対応3となると「子供と親の心を結び直す作業」は不可能ではないでしょうが、極めて困難となります。
それは国立肥前療養所に突然入院させられ、バスジャック事件を引き起こした少年の実例によく示されています。
対応4はすでに治療ではなく、心の交流を遮断した管理に過ぎません。
少年法は表面では<保護と矯正~治療>をうたっていますが、少年鑑別所は警察の留置場そのもの、少年院は刑務所そのものです。
法律は綺麗事で、実際には社会治安を優先していて<隔離そのもの>なのです。
マスコミの力を利用して法務警察機構は壮大なるインチキを「さも壮厳に」演じて恥じてないのです。
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今回では、水野先生が往診家族療法を行った際、まず分かれる幾つかの家族や子供の対応についてご紹介しました。
次回は往診家族療法 No.2として続編をお届けします。