新コーナー!「水野先生が行く」
自立支援村の拡充に向けて
~往診家族療法・薬の使用は最小限に 自由意志の尊重・国に頼らず自分たちの力で~
<プロフィール紹介>
精神科・内科 大空クリニック 院長 水野 昭夫さん
・1943年 宮崎県都城市出身
・1961年 宮崎県立泉が丘高校卒業
・1967年 国立鹿児島大学医学部卒業
・1973年 精神保健指定医の資格取得
・1975年 精神科診療所を開業
・1980年 164床の精神科病院を開業
・1994年 医療法人如月会を設立、理事長となる
2017年6月1日より「大空クリニック」を開業、当時74歳。
元々は別館、若草クリニックにて診療を続けていたが、若草病院を運営する医療法人如月会の理事長の席を息子に譲ったが意見の違いなどが生じたことがきっかけで、若草病院に通院しなければならなくなった「きさらぎ大空館」居住の方々のために急遽作ることになったのが「大空クリニック」だ。このクリニックの特徴は「老人、身体障害者、生活に支障をきたす様々な慢性疾患を抱えた人」など、 ”自立のために支援を要する全ての人達”が利用できるということ。
広告会社の入居していた2階建ての古家を改造したクリニックで、経費節約ということもあり看板は院長の手作り。同館二階には「如月おおぞら別館」の喫茶室「テゲテゲ倶楽部」があり、住民が自炊をしたりコーヒーを飲みながらほっと一息つける、アットホームな空間が広がっている。その他カラオケや将棋ができるような娯楽スペースもある。
「精神科医療改革の私の中心課題は<個人の、その人なりの生き方(人権)を尊重する>ということ。<社会や家族のための病院ではなく、一人の人間を治療し、支えるための医療>を目指すということです。
勿論、<社会や家族の安全や幸せ>を犠牲にして患者さんの<安全や幸せ>は守れない。
しかし、<社会や家族の安全や幸せ>のために<一人の患者さんの人権を奪う>ことは許されないのです。
そこのところを曖昧なまま、涼しい顔をしていてはいけません。
個人の、その人なりの生き方(人権)を尊重するには、<可能な限り早めに退院させ、通院医療(最近では在宅医療と呼ばれる)に切り替えること>が大切」。
想いは形となり行動となり、現在はクリニックでの診療と並行にリュック一つで全国を渡り歩きながら多くの ”ひきこもり当事者” の自宅を訪ね、その家族・当事者が “一歩前進するための”アプローチを続けている。
<書籍紹介>
• 往診家族療法
• 家族が開く―登校拒否・非行の家族療法
• 往診家族療法の普及のために
• 本棚の片隅
• 診療室から―よりよい医療よりよい宮崎
• 思春期病棟
• 精神医療改革物語
★次回の「水野先生が行く」では、先生のオリジナルスタイル、 ”自宅訪問型診療”についてご紹介します。