水野先生が行く~ 往診家族療法 No.2、続編 ~
~ 水野先生の著書、「自立支援アパートと往診家族療法」より ~
先に、自立支援アパートは「家族療法の治療の場として最適」と書きましたが、精神科のすべての疾患に家族療法の考え方は大切で、治療を進めるための基礎とするべきことです。
人格の基本は家族の中で作られます。生まれた白紙のままの心の子供にとって、両親や兄姉はとても敵わない絶対者なのです。
それは神様であり、悪魔のようなものでもあるのです。そこで・・・
家族との関係の取り方は「心の中に深く刻み込まれ、人格の基礎素材」となるのです。
こうして家族のそれぞれは、様々なレベルで「互いの心理を左右し、束縛しあう」ことになります。
家族関係は、
1、良い方向に行くと「協力」「励まし」の力が建設的に重ねられて行く
(協調家族、健康家族)
2、悪い方向に歪み始めると、悪循環を繰り返し、泥沼に入り込んで、前途を見失ってしまう
(過保護家族、指導力欠如、過支配家族、過干渉)
3、そこで、夫婦対立・親子葛藤・兄弟不和などが拡大し、過依存・我が儘・非行から家庭内暴力・様々な神経症・引籠りなどの適応障害に至る
私はこの家族の中の人間関係の治療を「家族療法」と呼んでいるのです。
この治療で一番大切な点は、
“症状を持っている人だけが悪いのではなくて、家族全員にそれぞれ責任がある。ということを互いに認め合う“。”
ということです。そこに辿り着いて初めて、家族療法が完成の方向に動き始めるのです。